3,町の音

 

朝、散歩をしています。

ちょうど町が動き始める時間なのでしょう

駅へ向かう人たちとすれ違うことになります。

のんびり朝の散歩をする老人と企業戦士とでは

一分一秒の長さがかなり違うようで、

かけっこ?みたいなスピードで駅へ向かう皆さんには、

のんびり空や花を眺め、時に立ち止まり写真を撮る年寄りは、

迷惑な障害物でしょうから、人が少ない道を歩いています。

 

社会のスピードで生活してると

気づかないことが多いでしょうが、

町はたくさんの音であふれています。

そんな愛すべき町の音を「町音」と呼んで楽しんでいます。

 

坂本龍一さんも晩年、雨や鳥の声などの自然の音や、

街の雑踏などを録音し、音楽に取り入れていました。

その曲を聴くと、教授には町のノイズや雨音は

こんなに魅力的に聞こえてたのかと驚かされます。

 

この季節、一番良く聞く町音は、

道に落ちた枯葉を掃除する音ではないでしょうか。

シャー、シャーと葉を掃く箒の音は、

秋の到来を感じられるとても素敵な町音です。

その他にも、

家から聞こえるニュース、

すれ違う人のイヤホンから漏れるリズム、

撒かれる水に花や葉が奏でるゆらめき、

鳥の声、時には大量のカラスのダミ声、

犬友だちの雑談、

自転車のブレーキ音、

メールの着信音、

トラックのウインカー、

ずっと鳴ってる目覚まし時計、

と、いろんな町音が散歩の友となってくれます。

 

その中でも最強に素敵なのは、

「遅刻するよーーー」というThis is 朝のお母さんの声、

あわてて子供がドアから飛び出て叫ぶ「いってきまーす」、

そこに家の前を掃除する隣の奥さんの「いってらっしゃい」

が続けば、もうこれは音で描かれた一枚の絵画です。

 

商店街の端っこで育ったからでしょう、商店街が大好きです。

特に朝の商店街、お店のシャッターがいたる所で開いて、

「おはようございます」の声が、いろんな所から聞こえ、

人、自転車が通り、配達のお兄さんが小走りで横切り、

通学途中にもかかわらず走り回る子供たちがいる、

そんな笑顔と町音が飛び交う朝が大好きです。

「生命力」なのか「活気」なのか「未来」なのか、

ここから先が息づいている感じがたまりません。

 

町はいつ見ても違う表情をしています。

ソール・ライターが同じ街角をずっと撮り続けても、

ニューヨークの片隅が、常に違う色と表情をみせたように、

町音も常に違います。

 

今朝は秋の冷たい雨。

突然の冷えに。町が堅くなっているかんじがします。

教授は、この秋の雨音にどんな曲をつけたのだろう・・・、

そんなことを思いながら、今日も町音とともに歩きます。

 

Copyright ©2023 a day  beginning and end All Rights Reserved